ジュリア系エンジンのO/H



車両から降ろしたエンジンです。新車以来丁寧に乗って
来られた様ですが40年近い年月でO/Hを必要としています。



オーナーのご希望により少し軽快なより力のあるエンジンに
生まれ変わる事になりました。



シリンダーヘッドを外した所です。



オイルパンを外してエンジンの下になる側から見た状態です。
見えているのは左側に突き出ているのがオイルポンプ
中に見える黒いような茶色いような物がクランクシャフトや
コンロッドです。



エンジンから取り外したピストン(コンロッド付き)です。
側面にカーボン(黒い物)が付着しています。



ピストンとクランクシャフトをつなぐコンロッドのベアリングです。
自動車エンジンの殆どはこの様なプレーンベアリングと言われる物です。
このベアリングとクランクシャフトとの間にオイルが0.03mmの皮膜を
作りスムーズに回転させているのです。オイル管理(劣化や温度)がいかに
重要化がお解かり頂けると思います。
光っている中心部はオイルに混ざってしまった不純物(主にエンジン内部のゴミ)によって
ベアリングが削られてしまった後です。エンジンオイル交換はこまめにやっているのに
オイルフィルター交換をオイル交換2回に1回、3回に1回などしかやらないと
この様になってしまいます。



エンジンブロックとクランクシャフト間のベアリングです。



アルファロメオのシリンダーブロックはヘッドを取り付けるヘッドボルトが
冷却水に浸かっており、またブロックがアルミでボルトが鉄のため
錆びて折れる事もしばしばあります。良く点検の上、ナットが掛かる
ネジ部分をその部分の錆だけを取るように調整したダイス(本来は雄ネジを作る道具)で
錆を綺麗に落とします。こうする事によりヘッドの締め付けが適正なトルクで
出来る様になります。



綺麗に洗浄したエンジンブロックに同様に洗浄したクランクシャフトを
組み付けます。勿論ベアリングは適正サイズの新品を取り付けます。
クランクシャフトは中をエンジンオイルが通っています。そのラインは製作時に
シャフトの外側から穴を開け最後にアルミのプラグでオイルが漏れない様に
プラグをしてあります。そのプラグを外してオイルラインを完全に洗浄して
長年に渡って溜まったスラッジを取り除きます。そして又アルミのプラグで
オイルを止めます。ここに書くと数行ですが実際にはかなりの注意力も必要な
作業です。アルファロメオ社でさえアルフェッタ(1.8、2.0共に)の頃車両製作時に
このプラグの加工が悪くこのプラグが外れて油圧が上がらないと言う
トラブルが発生しました。



旧タイプ(1750まで)のクランクシャフトはフライホイール取り付けに半月形をした
特殊なナットを使います。この写真のクランクシャフトから飛び出ている棒の様な物は
フライホイールを取り付ける時にそのナットが動かないようにするための
エムズ手作りのSST(専用特殊工具)です。



アルミのバルブスプリングリテーナーと強化バルブスプリングです。



エムズのスペシャルバルブです。国内で入手可能な最高の材質で作っています。
吸入抵抗と破壊の安全圏を両立させるためバルブステム径は8mmです。
バルブ径はオリジナルの1mmオーバーサイズで作っていますがいかなる
サイズでも製作可能です。バルブステムがオリジナルの9mmから8mmに変更しますので
バルブステムガイドも勿論スペシャルで製作しております。



アルファロメオ社製のバルブ組み立て用のSSTです。



アルファロメオ社製のバルブクリアランスを測るSSTです。
これがあると正確に素早くシム調整が出来ます。
カムシャフトはコロンボ&バリアーニ社製のスポーツカムです。
C&B社では作用角やリフトが同等の物でもプロフィールにより
ストリート用とレース用は分けて考えております。
カムシャフトの選択を誤らなければご希望通りのエンジンが完成します。





ドリルで削った後がフライホイール、クラッチカバーの静的バランス取りの後です。



新品のピストンを今まで使用して来たコンロッド(曲がりも異常も無い物)に
組み付けたところです。コンロッドボルトは新品の使用をお勧めします。



ピストンはこの様なピストンリングコンプレッサーと言う道具で
ピストンリングを縮めてシリンダーに入れます。



シリンダーブロックからヘッドに行くオイルラインです。
このロールピンはヘッドに行き過ぎてしまうオイルを抑制するオリフィスの役目と共に
オイル漏れを止めている"O"リングのガイドにもなっています。



折角のエンジンO/Hなのでオイルパンも新品に!



エンジンルームもこの際に綺麗に塗装しましょう!



ブレーキパイプなども脱着して塗装します。



細かいホース類も交換。ブレーキ・クラッチフルードタンクも綺麗に洗浄。



シリンダーヘッドの締め付けはトルクレンチで正確に。



出来上がったエンジンを搭載しいよいよ完成です。
これはほんの一例です。エムズガレージ(株)ではお客様の
ご要望によりどの様な仕様にでも致します。

ジュリア系ステアリングギヤーボックスのO/H

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